羊子が趣味で書いた創作BL(ボーイズラブ)小説を掲載しています。小説には性描写が含まれますのでご注意ください。

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夜の方舟(第1部)

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 陸がいなくなった。耳にした瞬間は、いかにも母親らしい、いつものオーバーリアクションだと思った。  一卵性双生児の陸は、母の胎内から出てきたのが先であることから戸籍上は律の「兄」で、松江家の長男である。  姿かたちはよく似ている二人だが性格はずいぶん違っていて、温厚で落ち着い...
夜の方舟(第1部)

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 |松江《まつえ》|律《りつ》は、はっとして目を覚ます。  鼓動が激しくて、自分がつい今まで夢の中にいたことを自覚するまでいくらかの時間がかかった。汗ばんだ肌にじっとりと張り付いたシャツ。  顔を上げるとエアコンの羽根が閉じている。自分でも気づかないうちにタイマーを設定してい...
お知らせ

拍手&コメント御礼

割と突発的ですが、書きたい意欲が高まるに任せて「夜の方舟」をはじめました。 初期からご覧いただいている方は「やっとか」と思われるかもしれないくらい、多分「醒める」書き終えたくらいの時期から書くと言っていたカルトBLです。もともとカルト集団に関するあれこれを読んだり観たりするのが...
夜の方舟(第1部)

 鳥の声。虫の声。どんどん早くなる呼吸と激しく打つ鼓動。ときどき風が吹いて、頭の上で木の葉や枝がざあっと大きな声を立てる。  こちら側の斜面は手入れされていないから草丈は胸のあたりまであるし、足下は大きな石や木の根でぼこぼこしていて危ない。だから普通、この山への上り下りには反対...
その他の番外|心を埋める(番外編)

塚本准教授の観察によると(後編)

 尚人が大学を辞めると言いだしたとき、渚は意外だとは思わなかった。修士課程に入った頃から緩やかに、けれど確実に、尚人の研究に対する意欲も、アウトプットの質量も下降線をたどり続けてきたことに気づいていたからだ。  長い時間をかけて彼なりに努力して、工夫して、とうとう本当に行き詰ま...
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