ミカドゲーム|心を埋める(番外編)

ミカドゲーム|心を埋める(番外編)

ミカドゲーム(おまけ)

日曜の朝、羽多野が目を覚ますと隣はもぬけの空だった。  枕やマットレスのへこみは、ささやかではあるが確かな《《彼の痕跡》》。手を触れるとすでにぬくもりは消えているところからすると、栄は少なくとも数十分前には起き出して、ベッドを出て行ったのだろう。  栄の同僚の強引な来訪という予定...
ミカドゲーム|心を埋める(番外編)

ミカドゲーム(12)

「イエス/ノー枕でも買ってみようかな」  行為を終えて喉がからからだが、キッチンに行かなければ水はない。手近な場所にあるウイスキーグラスを手に取りながら羽多野が冗談めかすと、背中を向けて横たわる栄はこちらを見もせずに吐き捨てる。 「そのネタ、今の若者には通じないと思いますよ」 「...
ミカドゲーム|心を埋める(番外編)

ミカドゲーム(11)

下着の膨らみに唇をつけ唾液で湿らせると、胸先と同様に一層はしたなく形をあらわにした。柔らかな弾力を持つ根元を布越しに舐め吸いながら鼻先を硬い勃起に擦りつける。  泳いだ後に使ったシャワージェルの爽やかでウッディなアロマに微かな体臭が混ざった栄の香り。何度も体を重ねて、痴態は目に、...
ミカドゲーム|心を埋める(番外編)

ミカドゲーム(10)

「ちょっと、今は嫌だって」  ポーズとしての抵抗を封じるように首筋に口付けながら、強引な愛撫に瞬時に凝った胸先をカリカリと引っかく。  体は正直などというとまるで安っぽいAVのようだが、事実栄の言葉と体は頻繁に正反対のことを主張する。もちろん、ほとんどの場合正しいのは体の方だ。 ...
ミカドゲーム|心を埋める(番外編)

ミカドゲーム(9)

日の高いうちから、散らかった部屋で。  もちろんこの部屋は《《あの日》》の《《あの部屋》》と比べるとよっぽど清潔だ。東京から一万キロ弱。距離的にも、おそらくは関係性としても自分たちはずっと遠くまできてしまった。  すべてを失うのは二度目。そこに追い打ちをかけるように、かつて用済み...