醒めるなら、それは夢 34. 第2章|1938年・ハンブルク
べっとりと白いペンキで描かれたバツ印に、ユリウスの視線は吸い込まれる。真新しい筆跡はまだ乾ききっておらず、それはまるで神々しい十字架のようにも見えた。背後を通りすがった男が舌打ちをするのが聞こえて、あわててベンチから目をそらす。しかし既に目を付けられてしまっていたのか、男はユリウスに近づいてくる。上着の襟には赤いナチ党のバッジを付けている。
醒めるなら、それは夢
恋で死ぬ。かもしれません
醒めるなら、それは夢
恋で死ぬ。かもしれません
醒めるなら、それは夢