長尾三佐の憂鬱な幸福|心を埋める(番外編)

長尾三佐の憂鬱な幸福|心を埋める(番外編)

クリスマス編

時期的には「こぼれて、すくって」最終話あたり。 街はすっかりイルミネーションに彩られクリスマスも間近に迫る師走下旬。長尾は大使館の廊下をかれこれ三往復ほどしたところだった。 この先には経済部の執務室。そしてそこには長尾の憧れの人である谷口栄のデスクがある。長尾が今からやろうとして...
長尾三佐の憂鬱な幸福|心を埋める(番外編)

出会い編

時期的には「こぼれて、すくって」プロローグと第1話のあいだです。 ドアを開けて部屋に足を踏み入れた瞬間に、一日中窓越しに熱され続けた空気が熱く肌にまとわりついた。 季節は七月。ヨーロッパには熱波が襲来しており、北に位置する英国とて猛暑に例外はない。連日ニュース番組では熱中症で救急...
長尾三佐の憂鬱な幸福|心を埋める(番外編)

出会い未満編

「そういえば、私の後任は独り身なんですよ」 大使館のロビーで偶然出くわした|小郡《おごおり》がそう言った瞬間、長尾は背中に後ろめたい冷や汗が滲むのを感じた。とはいえそれは本当に刹那の話。なにしろ目の前の男は長尾の性志向を知るはずはないし、それはつまり、かけられた言葉に他意はないと...