長尾三佐の憂鬱な幸福|心を埋める(番外編)

長尾三佐の憂鬱な幸福|心を埋める(番外編)

ミカドゲームの裏側・編(感想戦)

バタン、と音を立てて目の前で扉が閉じる。  と同時に、長尾の憧れの対象である谷口栄の顔はあっけなく視界から消えてしまった。 「……」  ドアが再び開くことはなかろうか。そんな期待にすがって、にこやかな彼の残像を思い浮かべながら立ち尽くすこと数十秒。セキュリティの行き届いた物件特有...
長尾三佐の憂鬱な幸福|心を埋める(番外編)

ミカドゲームの裏側・編

「ミカドゲーム」に至る長尾サイドのお話。 「うわ、柿の種7ポンド超え? マジかよ」  商品棚の前で立ち止まった長尾は思わず呻き声を上げる。  老眼にはまだまだ早い。一度目を擦って改めてプライスカードを凝視するが、書かれた数字に変化はなかった。  昨今の国際情勢不安で原油が高騰。日...
長尾三佐の憂鬱な幸福|心を埋める(番外編)

ライバル出現(?)編

「まぶたに蜜」の後くらいの長尾です。 「……はぁ」  ここのところ、在英国日本国大使館駐在中の駐在自衛官・長尾三佐の気分は優れない。  やらなければいけない仕事は山積みだし、今日の打ち合わせで英国陸軍の担当者と協議してきた内容は早急に公電にして日本に送らなければならない。だが、帰...
長尾三佐の憂鬱な幸福|心を埋める(番外編)

パブでの邂逅、編

「クリスマス編」の翌年6月くらいの長尾です。相変わらず夢みてます。  秋の日はつるべ落としというが、その逆はなんと表現すればいいのだろうか。そんなことを考えてしまう程度には、ロンドンの春はみるみるうちに昼が長くなる。  三月末に夏時間になってからしばらく経つとイースター。それから...
長尾三佐の憂鬱な幸福|心を埋める(番外編)

初飲み編

時期的には「こぼれて、すくって」プロローグと第1話のあいだ(「長尾SS(出会い編)」のあと)。  今日の長尾は朝から至極ご機嫌だった。  大使館の外に一歩足を踏み出せばうんざりするほど暑いし、そんな中わざわざ出かけた打ち合わせは、相手方の突然の体調不良で空振りの憂き目にあった。仕...