サクラ踊る踊る(番外編)

サクラ踊る踊る(番外編)

Dance with Cherry(2)

キッチンタイマーの鳴り響くキッチンに、圭一は呆然と立ち尽くした。想定外だ。こんなくだらないきっかけで、和志がこんなにも怒るなんて。はっきりと言葉にはしなかったものの明らかに圭一の側から和解のきっかけを差し伸べているにも関わらず、それを和志がはねのけるなんて、長い付き合いで初めてのことかもしれない。
サクラ踊る踊る(番外編)

Dance with Cherry(1)

触れ合った体が熱い。頬や首筋にかかる息はもっと熱い。火曜日は圭一が働いているカフェの定休日。別にそうして欲しいと頼んだわけではないのに、和志は大学の予定をできるだけ空けて圭一の部屋にやってくる。もちろんそれ以外の日にもしょっちゅう顔は合わせているが、のんびり二人で過ごす時間を持てるのは断然火曜日だ。
サクラ踊る踊る(番外編)

騒々しい週末

「ほのか、あなたにはお兄ちゃんがいるのよ」物心ついた頃から、ことあるごとにママはそう口にした。わたしがまだ見たことがない「お兄ちゃん」の話をするときのママはいつだって甘ったるい声色で、でも目には見えない大きな岩に押しつぶされているような辛そうな顔をするものだから、どう反応したらいいかわからなくていつだってただ黙って話を聞いていた。