先生の秘密

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先生の受難(車内にて:その2)

「あ、あの……?」  すぐに拒絶できなかったのは、何かの間違いだと思ったからだ。電車の揺れのせいで手がすべったとか、そういった事故。  どれだけ電車が揺れようと上着の内側まで手が入り込むことなどありえないから、苦しい考えであることはわかっている。かといって自分の身に起こってい...
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先生の受難(車内にて:その1)

 音を立てて扉が閉まり、電車がホームから離れていく。  教師らしい平然とした態度で見送ったつもりだが俺の心臓は激しく打ち続けていた。  ――あいつが余計なことばかり言うから。  すでにここにはいない榎木を心の中で呪うと同時に、高校生ごときにからかわれて動揺している自分を情け...
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先生の受難(ホームにて)

 早くも冬の気配を感じる夜道を歩いて、駅にたどりついたところでホームに見慣れた人影を見つけた。右手をポケットに突っ込んで、左手だけで器用にスマートフォンを操作しているその姿は、俺が受け持っている生徒・|榎木《えのき》だった。  声をかけようとして一瞬の間があいたのは、制服の襟を...
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「ちーちゃんの乳首が見たいんだよね」  窓からオレンジ色の光が差し込む夕方。いつもどおりの笑顔を浮かべて、いつもどおりの飄々とした口ぶりで|榎木《えのき》がそう言った瞬間、俺は凍り付いた。  他に誰もいない放課後の教室。「どうしてもわからないことがあるから」と言われ、時間外に...
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