ミカドゲーム|心を埋める(番外編)

ミカドゲーム|心を埋める(番外編)

ミカドゲーム(3)

電話を切ってから数秒間、栄は硬直してベッドサイドに立ち尽くしていた。 「何だったんだ、今のは」  長尾の名と通話時間が表示されたスマートフォンの画面を見つめ、頭の中でやりとりを反芻するうちに、取り返しのつかない失策がじわじわと現実味を帯びてくる。  いくら玄関先だけとはいえ、羽多...
ミカドゲーム|心を埋める(番外編)

ミカドゲーム(2)

土曜日の午後、栄はくつろいだ気分で仕事の資料と向き合っていた。  円安問題を受けて仕事量が増えているため前日の金曜日はそこそこ遅い時間まで残業をして、帰宅してから羽多野が準備した軽い夕食をとった。  後片付けも引き受けてくれるという言葉に甘えて風呂に向かい、のんびり湯船に浸かって...
ミカドゲーム|心を埋める(番外編)

ミカドゲーム(1)

毎年11月11日が過ぎてから「そういえばポッキーゲームネタ書きそびれたなあ」と後悔するので、季節関係なしに、覚えているうちに書いてしまうことにしました。というネタ。 「いや~、本当にこれ、弱っちゃうよねえ」  大きなため息に、ちょうどコーヒーをいれて戻ってきた栄は立ち止まる。視線...