うつくしいあし

うつくしいあし

第2話

声をかけてきた男は、ぼくが立ち上がることすらままならないと知ると傘を閉じた。そして腕を引いてぼくを助け起こし、家までずっと肩を貸してくれた。 ぼくのマンションにはエレベーターがないので、息を切らしながら階段で三階まで上がった。自分の部屋のドアが見えたときには心底ほっとした。「あり...
うつくしいあし

第1話

書店に寄ってしばらく本を見て歩き、外に出たときにはひどい雨が降っていた。意識したわけではないのに右脚にぐっと力が入り、同時に左脚に視線を落とす。最悪だ、と心の声が思わず口からこぼれた。「あの、通ってもいいですか」 自動ドアのすぐ近くで立ち止まっているのが邪魔だったのか、後ろからや...
うつくしいあし

プロローグ

ぼくの《《一部》》は死んだ。 嘘ではないし、誇張でもない。その証拠に目の前には真っ白い布に包まれた小さな箱がある。箱の中には小さな骨壺が入っていて、その中にはぼくの左脚、膝から下の骨が入っているのだ。「……あなた、こんなものわざわざ病室に持ってこなくたって。縁起が悪いし、あっくん...