うつくしいあし

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第7話

こんなに緊張するのは初デート以来、いや、デートの方がまだましだったかもしれない。すでに彼女のいる友人に聞けば、どういう服装をしてどういう店を選べばいいか、ある程度確からしい情報を得ることができた。でも今回は何もかもが未知数だ。 宇田はぼくの彼女でもなければ、友人でもバイト仲間でも...
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第6話

レジカウンターの中で接客中の宇田は、こちらに気づいていない。その横顔を眺めながらぼくは、「果たしてあれは本当に宇田なのか」と自問する。 一緒に過ごしたのはほんの数時間だけだった。最初は暗闇の中、最後の方は少し酔っていた。ぼくにとって宇田という人間の印象は鮮烈だったが、それはどちら...
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第5話

「……それにしても坂道での転倒なんて。もし義足が合わないせいなら、すぐにでも装具技師に連絡して調整したほうが良いと思いますよ。下手すると大きい怪我をすることもあるから……って、|土岐津《ときつ》さん聞いてます?」「え? あ、はいっ」 強い調子で名前を呼ばれて、はっと顔を上げた。声...
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第4話

股間を気にしながら謝罪の言葉を口にしたぼくを見て、宇田もようやく異変を察したようだ。スウェット地を持ち上げるものに目をやると、顔を赤らめた。「すみません、あの……」 恥ずかしいのはお互い様だ。同性に脚を触られたくらいで性的に興奮してしまったぼくも、興味本位で人の古傷を撫でているう...
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第3話

見知らぬ男が二人。ずっと流れていた気まずい空気は、ビール片手に言葉を交わすことで少しずつ和らいだ。「本当に、人を上げるの自体すごく久しぶりですよ。前はたまに大学のやつら呼んで鍋とかしてたけど」「|土岐津《ときつ》――さんは、大学生なんですか?」 床に座った|宇田《うだ》がぼくを見...