心を埋める 86. 栄 笠井家に関する週刊誌の記事が出てから一週間少々が経った。栄は毎朝決まった時間に家を出て電車に揺られ出社する生活に再び馴染みつつあった。しかし残業も突発対応もできない診断書持ちの身では相変わらず与えられる仕事は限定的だ。こういうときに限って余計なことを考える暇が豊富にあるのは正直言ってありがた迷惑にすら思えた。 2019.05.08 心を埋める
お知らせ 拍手&コメント御礼 本日もメッセージありがとうございました。「優馬は最終兵器」はごもっともで、なんだかんだと未生はブラコンなので優馬に泣かれるのが一番辛いのだと思います。 2019.05.07 お知らせ
心を埋める 85. 未生 未生が帰宅した日、父は家に戻らなかった。真希絵と優馬はしばらくリビングで話をしていたようだが、普段より早い時間に二人とも自室に入り、その後は家中が静けさに包まれた。息を殺すようにして潜んでいた未生はそれからそっと階下に降りて、キッチンにあった買い置きのインスタントラーメンで夕食を済ませた。手持ち無沙汰なのでテレビでも観ようかと思いリモコンを手にするが電源が入らない。リビングのテレビはコンセントが抜かれたままで、おそらく優馬が誤って電源を入れても自分の家族についてのひどい報道に触れることがないよう配慮したのだろうと思った。 2019.05.07 心を埋める
心を埋める 84. 未生 未生は迎えの運転で夕方に自宅に戻った。迎えに来たのは父の事務所でアルバイトをしている女性で、見覚えはない顔だったが彼女の側は未生のことを知っているのだろう。ホテルのロビーに入ってくるとキャップを目深に被った未生の方へ迷うことなく近づいてきた。「どうも……」 2019.05.06 心を埋める