僕と機械仕掛けとゴースト

僕と機械仕掛けとゴースト(11)

 とにかく僕は、ヒューゴにさっさと家を出ていって欲しかった。  こんな気持ち、ベンや、他の友だちを招いていた頃に抱いたことはない。あの頃は僕の家にサーシャがいることや彼の作る料理が絶品であることはいつだって自慢だった。  この感情は恥ずかしさとは違っていて――要するに僕は、誰かが...
僕と機械仕掛けとゴースト

僕と機械仕掛けとゴースト(10)

「えっと、ヒューゴ。今のは……」  気分は最悪。かといってどうにかすればこの場を取り繕うことができるのではないかという期待を捨て去ることもできず言葉を探していると、玄関前へ車が滑り込んできた。  後部座席にヒューゴと並んで乗り込むと、ドアが閉まる。 「行き先は駅でよろしかったです...
僕と機械仕掛けとゴースト

僕と機械仕掛けとゴースト(9)

「へええ、ここがラザフォード邸か」  ヒューゴが《《僕の家》》にやってきたのは週末のことだった。本当はもっと準備の時間が欲しかったのだけど、せっかちで押しの強い彼に押し切られてしまった。  おじいさんにも、ベネットさんにも、お茶の準備のために休日出勤してくれるマーサも事情はわかっ...
僕と機械仕掛けとゴースト

僕と機械仕掛けとゴースト(8)

 部屋に戻ると僕は、机の引き出しの一番奥に隠してある封筒を取り出した。  中にあるのはストロベリーブロンドの髪の毛たったの一本。封を開けるのはずいぶん久しぶりだったけれど、大切な友だちの形見は相変わらずそこにあった。 「ビビがいてくれれば良かったのにな」  思わず呟いた。  僕に...
僕と機械仕掛けとゴースト

僕と機械仕掛けとゴースト(7)

「楽しくなさそうですね。せっかくベンと会ったのに、もしかして喧嘩ですか?」  じっと僕の様子をうかがっていたサーシャが切り出した。喧嘩を疑われるなんて、帰宅してからの僕はよっぽど浮かない顔をしていたのかもしれない。 「そんなんじゃないよ。でも、なんか」  そこまで言ったところで口...