尺には尺を?|心を埋める(番外編)

第3話

「え?」 栄がぎょっとしたように顔をこちらに向けた。 ひとまずシャワーヘッドはフックに戻し、問題の場所をもう少しよく観察するため羽多野は恋人の体を裏返し正面から向かい合うと、タイル張りの床に膝をついた。「俺に言われたこと気にしてんの?」 改めて至近距離で見ると、再渡英して最初にセ...
お知らせ

拍手&コメント御礼

「心を埋める」シリーズ、羽多野×栄の番外編の「尺には尺を?」を一昨日より開始しました。普段の数倍の拍手をいただいたので、この2人を楽しみにしてくださってる方多いんだなとしみじみ。わたしも書いていて楽しいですし、普段は割と「くっつくまで」で満足しがちなのに、その先まで書きたいと思え...
尺には尺を?|心を埋める(番外編)

第2話

独特の強いにおいで多少ごまかされるとはいえ、この手の酒のアルコール度数が高いということは栄だってわかっているはずだ。 過去に二人で酒を飲んだときに栄は何度か彼にとっての「大失態」を演じている。例えば最初に飲みに行った夜には財布からED治療薬を落とし、性的不能に悩んでいたことや当時...
尺には尺を?|心を埋める(番外編)

第1話

秋の日はつるべ落としというが、その逆は何だっただろうか? いや、そもそもそのような表現は存在しないのだろうか。 日の名残がうっすら残る空を見上げれば、三月に入りずいぶんと日没が遅くなってきたことに気づく。とはいえ一番寒くかつ日の短い時期には日本に戻っていたから、羽多野は英国の真冬...
僕と機械仕掛けとビビ

僕と機械仕掛けの不在(7)

そして、長いような短いような一週間は過ぎた。水曜から金曜はちゃんと学校に行ったし、心配そうな顔のベンには「サーシャにはバックアップがふたつあるから大丈夫」と笑ってみせた。 毎晩寝室に戻ってから少しずつ「契約書」を読んだ。難しい言い回しばかりでいくら辞書を引いても理解できないことが...