醒めるなら、それは夢(番外編)

ウィーン再訪編(9)|1961年・ウィーン

思い切ったように言葉を吐き出してからユリウスは目を伏せる。 まただ、とニコは思う。どれだけ許しても、どれだけ愛の言葉をささやいても伝わりきらない。いや、一度は伝わった気がしても、ちょっとしたことで自分たちの関係はまた不安定でいびつだった頃の呪いを呼び戻してしまう。 ヤマアラシのジ...
お知らせ

拍手&コメント御礼

「機械仕掛け」の更新をしました。「醒める」は次回はちゃんとえっちな場面になるので週末にのんびり書きますね。感想へのコメント返しは以下よりどうぞ。昨日拍手お礼とプライベッターにあげた羽多野×栄のSSも読んでいただけているようで嬉しいです。あ、あと本日までにいただいた誤字指摘はすべて...
僕と機械仕掛けとビビ

僕と機械仕掛けの不在(4)

午後の授業はほとんど耳に入らなかった。ベンが言っていたことがずっと頭の中でぐるぐる回って、そのうち体の中でも怖い気持ちや不安な気持ちが渦巻いて、最後は目の前までくらくらしてきた。「どうしたの? アキくん、具合が悪いの?」 僕の様子がおかしいことに気づいた先生が心配そうに机までやっ...
僕と機械仕掛けとビビ

僕と機械仕掛けの不在(3)

次の日から僕は、いつもより一時間くらい早起きをしなければいけなかった。というのも僕とサーシャの暮らすアパートメントと比べておじいさんの家はずっと郊外にあって、学校から遠く離れているからだ。 普段の僕は朝の七時半にサーシャに起こされる。たまには、キッチンから流れてくるスープやパンケ...
醒めるなら、それは夢(番外編)

ウィーン再訪編(8)|1961年・ウィーン

「夫に?」 夫人が聞き返す。 彼女の夫であるシュルツ氏は戦時中に連合軍の空襲に巻き込まれて亡くなったと聞いている。まだ十分に心の傷が癒えてはいなかったのか、かつて部屋を借りていた頃に彼女が夫や息子たちについて詳細な話をしたことはない。いくらあれから十年の年月が流れたからといって、...