これは二度目の恋ではなくて|心を埋める(番外編)

これは二度目の恋ではなくて|心を埋める(番外編)

第9話

季節外れのアイスコーヒーを飲みながら、尚人は向かい合って座る未生の顔から完全に怒りの色が消えていることに改めてほっと胸を撫で下ろす。 稚拙な嘘がばれたと知った瞬間には頭が真っ白になった。尚人としてはぎこちないながらもなんとか誤魔化せていると信じていたのだ。隠しごとというよりは時間...
これは二度目の恋ではなくて|心を埋める(番外編)

第8話

未生はそれから尚人の目の前で数件の電話を掛けた。まずは真希絵。尚人からの依頼について確認すると、すでに父を含め周囲の秘書たちには聞いてみたとのことだった。「でも、やっぱり辞め方が辞め方だけに……」 気まずそうな返事は、彼女自身も羽多野の辞職に当たって幾ばくの罪悪感を残しているから...
これは二度目の恋ではなくて|心を埋める(番外編)

第7話

だったら最初から相談して目的を告げてくれれば、こんなややこしいことにはならないのにと頭をよぎるが、過去の自分が栄についてどれだけ容赦ない罵倒と嫉妬の言葉を吐き続けたかを思い出せば苦いものがこみ上げる。心のままに告げた正直なわがままが尚人を悩ませ、最終的には嘘というかたちで跳ね返っ...
これは二度目の恋ではなくて|心を埋める(番外編)

第6話

栄、という言葉が尚人の唇からこぼれた瞬間に一度はおさまりかけた 激しい感情がさっき以上の勢いで燃え上がる。物に当たらずにすんだのは単に、すでにゴミ箱を蹴飛ばしてしまった未生の足元に何もなかったからにすぎない。「栄が……って、言った?」 怒りに震えつつわずかな期待を込めて聞き返して...
これは二度目の恋ではなくて|心を埋める(番外編)

第5話

優馬から聞き出した内容は、未生にとってあまりに予想外のものだった。「……羽多野? って、あの、政策秘書の羽多野貴明?」「だと思う。よく家にも来てたお兄さん」 父の秘書の中では若く、気さくに話しかけてくる羽多野には優馬も懐いていたような気がする。だが未生は羽多野のことを悪人とは思わ...