尺には尺を?|心を埋める(番外編)

尺には尺を?|心を埋める(番外編)

おまけ(7)

「んっ、あ……」 もどかしいから自分からも腰を押しつけて、羽多野の硬い腹でペニスを擦る。待ち望んだ確かな刺激を口から、ペニスから、胸から。やけくそのように貪欲な動きを見せる栄の唇を味わい尽くして、羽多野はようやく息継ぎの間を与えた。「本当に、今日はいつになく積極的だな」 改めて確...
尺には尺を?|心を埋める(番外編)

おまけ(6)

これまで出会った中で一番狡猾な男に壁際まで追い詰められた時点で、勝負など決まったも同然だ。うずく腰から気をそらすこともできず、栄はおずおずと切り出した。「……あのですね」 そう言ってバスローブの前を押さえる手を離すと、ずっしり重いタオル生地は重力に負けてあっけなくはだける。 羽多...
尺には尺を?|心を埋める(番外編)

おまけ(5)

羽多野が眠そうな顔をしているのをいいことに、栄はまず「なかったことにする」可能性にかけてみることにした。だが、案の定そう簡単にはいかない。「……何もしてないってことはないだろう。だって、いま」「ね、寝ぼけて夢でもみたんじゃないですか」 疑わしげな視線を向けてくる羽多野に食い下がっ...
尺には尺を?|心を埋める(番外編)

おまけ(4)

これは暑いせい、もしくはバスローブの肌触りのせい。そう自分に言い聞かせるが、意識すればするほど体温が上がってゆく。栄は気を逸らそうとしてもぞもぞと寝返りを打とうとするが、自ら引いた〈境界線〉が邪魔になって十分な身動きがとれない。 それに、羽多野を起こしたくはない。呑気に寝ていられ...
尺には尺を?|心を埋める(番外編)

おまけ(3)

「何ですか、これは……?」 紙袋から出てきたのは下着――と呼ぶのが正確であるのかすら栄には判別がつかない物体だった。 太いゴムバンドが二本交差するような形につなぎ合わさり、その中央部には小さな袋状の布がついている。これが男性用下着だとしても栄が普段着用している腰全体を覆うボクサー...