こぼれて、すくって

第35話

帰宅しても気持ちは落ち着かず、ひとりになりたくて栄は夜中にも関わらずかれこれ数十分もバスルームにこもっていた。高めの温度に設定した湯船に浸かっているうちに完全に酒は抜けたのに、頭の中にはほんのりと浮ついたような感覚が残っている。それもこれも、元はと言えば。 ――トーマス、おまえは...
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拍手やコメントなどいつもありがとうございます。レスは以下よりどうぞ。 第三者に言われて意識する栄が可愛い。高慢なスパダリであるほど恋愛関係の拙さとのギャップが これまで栄が羽多野に好意を向けられている可能性に気づいていなかったのが意外→羽多野は栄の目から見ても間違いない攻めで、だ...
こぼれて、すくって

第34話

それなりに盛り上がった会は、日付が変わる頃にお開きになった。深夜であろうともバスや、週末に限っては一部の地下鉄も動いているのだが、日本の終電時刻が近づくと店を出たくなるのは体の芯まで染み付いた習慣のようなものだ。 週末のロンドン中心部は眠らない――とはいえ朝まで遊ぶ体力のある若者...
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拍手&コメント御礼

恋愛って、きっかけが自分か他人か問わず結局は意識するところからはじまるんだろうなーと思いながら書いている今日この頃です。ではコメントレスは以下からどうぞ。 不本意勘違い面白い→栄にとっては面白いでは済まないのですが(笑)、多分一生自主的に羽多野を意識することはないかと思いますので...
こぼれて、すくって

第33話

急に差し込むような頭痛を感じたのは、決して飲みすぎたせいではない。栄は悪気のかけらもない表情で――それどころか何かいいものを見たかのように目を輝かせているトーマスにまっすぐ向き合うと、厳粛に告げた。「トーマス、君は多分ひどい誤解をしてる」 いまの自分はおそらく仕事上の困難に直面し...