僕と機械仕掛けと思い出

僕と機械仕掛けと思い出(21)

あの日を最後に、おじいさんを公園で見かけることはなくなった。気になって何度かサーシャと行ってみたけれど、ベンチはいつも空っぽだった。 バラの季節が終わった公園には興味をなくしてしまったのかもしれない。それとも家族の人にうんと叱られて、自由に家から出してもらえなくなったんだろうか。...
僕と機械仕掛けと思い出

僕と機械仕掛けと思い出(20)

まるきり知らない人に話しかけられた様子で怯えきったおじいさんに、おばあさんはつかつかと歩み寄ると腕をつかんで立ち上がらせようとする。「はいはい、わかってますよ。でもあなたの妻は私なんですから、一緒に家に帰りましょう」「そう……そういえば、そうだったか? だが」「そうなんです! さ...
僕と機械仕掛けと思い出

僕と機械仕掛けと思い出(19)

おじいさんと並んで座っているうちに、でまかせではなく本当に待ち合わせをしているような気分になってくる。そして、多分それは、完全な思い込みというわけでもない。「アキ!」 名前を呼ぶ声に、僕とおじいさんは同時に顔を上げる。「おや、君の待ち合わせ相手が来たのかな?」「……うん、そうみた...
僕と機械仕掛けと思い出

僕と機械仕掛けと思い出(18)

僕には好きとか結婚とか一生とか、そういった難しいことはわからない。でも、おじいさんのしわくちゃだけど優しい手の感触と「大切な人」という言葉にぱっと頭に浮かんだのは――今ごろキッチンで僕のために夕食を準備しているであろう、凜と背筋の伸びた後ろ姿だった。「うん、そうだよ」 僕は、はっ...
お知らせ

拍手&コメント御礼

予告していた、前回更新小話のおまけ(栄視点)をアップしました。久しぶりの更新に、多めの拍手ありがとうございました。調子悪いときって自分が過去に書いたものを見返すのも無理ってなりがちなのですが、読み返しもできるようになってきたので調子はだいぶ上向きです。この勢いで……この勢いで何と...