うつくしいあし

第40話

それから幸乃とは何度かメッセージのやり取りをした。繰り返される謝罪と「できればまた会いたい」。彼女もまた、あの日ぼくが口にした「少しずつ慣れていこう」という言葉を完全に信じてはいなかったのだろう。 どちらからも電話は掛けなかった。それなりに胸をときめかせ寂しい夜を埋めてくれたはず...
うつくしいあし

第39話

驚き、戸惑い——それから恐怖。幸乃の目の中にそれらの感情を見つけた瞬間、一気に興奮が冷めた。性行為への本能的な昂りだけではなく、それ以外の浮ついた感情もまとめてすうっと引いてゆく。「あ……」 察しの良い幸乃もまた、ぼくが《《気づいてしまったこと》》を知ったのだろう。半裸で向き合う...
うつくしいあし

第38話

ナンセンスだとわかっていても、宇田の殺風景な部屋を訪れたときのことを思い出し、重ねてしまう。そしてすぐに比較の意味すらないことに気づく。そのくらい、宇田の部屋と幸乃の部屋は何もかもが違っていた。 上がってすぐのキッチンには、限られたスペースを工夫して食器や調理用具、調味料などが所...
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今週からオフィスでの仕事に復帰したので、自由になる時間減少&久々の通勤疲れで更新頻度が下がってます。覚悟はしていましたが4ヶ月ほぼ家で過ごした影響は残酷……ちょっと歩いたり走ったりするだけで息が上がってしまうのが情けないです。早く体力戻したい。少し遅くなってしまいましたがメールフ...
うつくしいあし

第37話

「ほら、あのカピバラぐっすり眠ってる。かわいい!」 はしゃいだ声は近くから聞こえているはずなのに、遠い。視界に入っている巨大なネズミのような動物の姿にも焦点を合わせることができずに、ただ虚空を眺めていた。「……土岐津さん?」 返事がないことを怪訝に思ったのであろう幸乃に名前を呼ば...