きいろとあかと|心を埋める(番外編)

きいろとあかと|心を埋める(番外編)

第8話

念のため六時過ぎまでファミレスで暇をつぶした尚人はおそるおそる帰宅したが、未生の姿は部屋になかった。以前の未生だったらこういうときには講義などかなぐり捨てて尚人を待ち伏せていただろうから、ちゃんと約束通り大学に向かっただけでもずいぶん大人になったものだ。 寝室を確かめると、押し倒...
きいろとあかと|心を埋める(番外編)

第7話

「年の差彼女ってどんな感じ? どこで出会ったの? 仲いい? 話合うの?」 酒の勢いなのか素の性格なのか、範子は身を乗り出して未生の私生活を暴きたてようとした。このためにわざわざアルバイト先までやって来たのかもしれないと想像するだけでゾッとする。「別に普通だよ。そんなこと話す筋合い...
きいろとあかと|心を埋める(番外編)

第6話

夜明けの早さに感謝したことなど人生で初めての経験かもしれない。もちろんそれだけではなく、他人の部屋で一人きりまんじりともせず夜を明かすというのも未生にとっては初めてのことだった。 夜明けも始発も待ちきれずに四時過ぎには尚人のマンションを出た。いつもは居心地が良いと感じていた部屋な...
きいろとあかと|心を埋める(番外編)

第5話

勢いのままにマンションを飛び出して大通りまで走ったところで息が切れてしまい、尚人は自分の体力のなさに絶望する。しかし幸いというか残念ながらというか未生が追いかけてくる気配はない。「……っていうか、何で僕がこんな……っ」 立ち止まった尚人は思わずそう吐き出した。 よくよく考えてみな...
きいろとあかと|心を埋める(番外編)

第4話

尚人のマンションに着いたときには十一時半を回っていた。怪しまれたのか一度目の呼び出しでは応答せず、二度目にインターフォンを押すとようやく「はい?」と怪訝な声が聞こえてきた。 俺、と未生がぶっきらぼうに告げると驚きながらも尚人はオートロックを解除する。「……どうしたの、急に」 玄関...