尺には尺を?|心を埋める(番外編)

尺には尺を?|心を埋める(番外編)

第6話

「暑い」――最初にそう感じた。 次にやってきたのは「重い」で、栄は不快な感覚の正体を確かめようと億劫ながらもまぶたを持ち上げた。 理由はすぐに判明する。寝ている栄を背後から無理やりのように抱きすくめている羽多野、この男が暑さと重さと不快の元凶だ。栄が目を覚ましたことにも気づいてい...
尺には尺を?|心を埋める(番外編)

第5話

根本周辺が完全につるつるになる頃には、栄は完全に勃起していた。羽多野としてはそれが硬くなっている方が作業しやすい。左手でペニスと陰嚢を持ち上げると見えづらい場所に手をつける。「あ……っ」 刃先が肌を滑るたびに面白いように体を震わせながら、栄は我慢ならないといった様子で吐息を漏らし...
尺には尺を?|心を埋める(番外編)

第4話

ぞんぶんに泡をまとわせてはいたものの、肌からそれなりの量の毛が剃り取られる感触も伝わっていただろう。再び真っ青になった栄はまずは恐怖に体をおののかせると、それからまじまじと自身の下腹部を眺め――今度は怒りに震えた。「何やってんだよ、この馬鹿っ!」 怒号と同時に、しゃがみこんだまま...
尺には尺を?|心を埋める(番外編)

第3話

「え?」 栄がぎょっとしたように顔をこちらに向けた。 ひとまずシャワーヘッドはフックに戻し、問題の場所をもう少しよく観察するため羽多野は恋人の体を裏返し正面から向かい合うと、タイル張りの床に膝をついた。「俺に言われたこと気にしてんの?」 改めて至近距離で見ると、再渡英して最初にセ...
尺には尺を?|心を埋める(番外編)

第2話

独特の強いにおいで多少ごまかされるとはいえ、この手の酒のアルコール度数が高いということは栄だってわかっているはずだ。 過去に二人で酒を飲んだときに栄は何度か彼にとっての「大失態」を演じている。例えば最初に飲みに行った夜には財布からED治療薬を落とし、性的不能に悩んでいたことや当時...