僕と機械仕掛けとビビ

僕と機械仕掛けとビビ

僕と機械仕掛けの不在(7)

そして、長いような短いような一週間は過ぎた。水曜から金曜はちゃんと学校に行ったし、心配そうな顔のベンには「サーシャにはバックアップがふたつあるから大丈夫」と笑ってみせた。  毎晩寝室に戻ってから少しずつ「契約書」を読んだ。難しい言い回しばかりでいくら辞書を引いても理解できないこと...
僕と機械仕掛けとビビ

僕と機械仕掛けの不在(6)

目を覚ますと外はすっかり明るくなっていた。寝坊したと思ってあせったけれど、僕を起こしに行こうとするマーサを止めたのはおじいさんだった。約束通り、学校にも電話をかけて「アキヒコは体調を崩しているので休ませます」と告げてくれた。  おじいさんが夜更かしを理由に僕を休ませたと知ったベネ...
僕と機械仕掛けとビビ

僕と機械仕掛けの不在(5)

シャワーを浴びて、寝間着に着替えて歯を磨いてから、マーサが僕を寝室に連れて行ってくれた。 「マーサはいつも、こんな遅い時間までここにいるの?」  時計の針はもう夜の九時近い。早起きして、車にも乗って、怖い気持ちにもなって、僕にとって今日はすごくすごく長く感じられた。こんなに長いの...
僕と機械仕掛けとビビ

僕と機械仕掛けの不在(4)

午後の授業はほとんど耳に入らなかった。ベンが言っていたことがずっと頭の中でぐるぐる回って、そのうち体の中でも怖い気持ちや不安な気持ちが渦巻いて、最後は目の前までくらくらしてきた。 「どうしたの? アキくん、具合が悪いの?」  僕の様子がおかしいことに気づいた先生が心配そうに机まで...
僕と機械仕掛けとビビ

僕と機械仕掛けの不在(3)

次の日から僕は、いつもより一時間くらい早起きをしなければいけなかった。というのも僕とサーシャの暮らすアパートメントと比べておじいさんの家はずっと郊外にあって、学校から遠く離れているからだ。  普段の僕は朝の七時半にサーシャに起こされる。たまには、キッチンから流れてくるスープやパン...