僕と機械仕掛けと思い出 僕と機械仕掛けと思い出(13) その日の午後はずっと変な感じだった。 授業中も休憩時間も、クラスの子たちが僕をちらちら見ては何やらささやき合っている。落ち着かなくて、嫌な気分で、だからといって自分から理由を聞くのは怖い。だから僕はできるだけ普段通りに振る舞おうとした。 視線の意味に気づいたのは、その日... 2021.02.22 僕と機械仕掛けと思い出
僕と機械仕掛けと思い出 僕と機械仕掛けと思い出(12) 「見知らぬお年寄りを心配して、助けようとしたこと自体はいいことです。ただ、どんないいこともやり方を間違えては台なしですよ。あなたは優しいし正義感も強い。ただ、感情に任せて衝動的な行動をとる癖がこの年齢になっても治らないのは困りものです」 許す、と言っておきながらサーシャは夕食... 2021.02.20 僕と機械仕掛けと思い出
僕と機械仕掛けと思い出 僕と機械仕掛けと思い出(11) サーシャはおじいさんといくつかの会話を交わしてから、僕にささやいた。 「帰る方向がわからなくなってしまったようです。住所も電話番号も思い出せないようなので、とりあえず警察に連れていきましょう」 「警察?」 「ええ、もしかしたら家族から捜索願が出ているかもしれません。そうで... 2021.02.13 僕と機械仕掛けと思い出
僕と機械仕掛けと思い出 僕と機械仕掛けと思い出(10) 何も言えなくなった僕は、おじいさんと隣り合って座り黙っていた。 どのくらい経っただろう、ぱっと道路の街灯にあかりがつき、いつの間にか空がすっかり暗くなっていることに気づく。肌寒いし、さすがにサーシャも僕が帰って来ないことをおかしいと思っているだろう。 おじいさんは、変わ... 2021.02.11 僕と機械仕掛けと思い出
僕と機械仕掛けと思い出 僕と機械仕掛けと思い出(9) いくら人の少ない公園とはいえ、話しかけてくる子どもは僕以外にもいたのかもしれない。そして、僕からはほとんどのお年寄りが似通って見えるように、お年寄りからはほとんどの子どもは同じに見えるのかもしれない。 そう思った僕はおずおずと切り出す。 「えっと、おじいさん。僕は昨日ここ... 2021.02.08 僕と機械仕掛けと思い出