僕と機械仕掛けと思い出

僕と機械仕掛けと思い出

僕と機械仕掛けと思い出(16)

 その日の帰り、交通事故のせいで大通りはひどく渋滞していた。 「まったく、これじゃ何時間かかるかわからん」  気の短いベネットさんはちっとも動かない車の後部座席で舌打ちをして、運転手に裏道を抜けるよう指示した。  裏道というのはつまり、住宅街の中を編み目のように走る狭くて入...
僕と機械仕掛けと思い出

僕と機械仕掛けと思い出(15)

 週末、郊外にあるおじいさんの家に行くと、あのいまいましいパブリック・スクールのパンフレットは相変わらずリビングのテーブルに置いたままになっていた。いや、いつだって何もかもがきれいに整えられたこの家で不要なものが意味もなく出したままにされているはずはない。僕がやってくるから、わざ...
僕と機械仕掛けと思い出

僕と機械仕掛けと思い出(14)

 僕が乱暴に手を振り払っても、サーシャは怒らなかった。つまり彼は、僕が悲しいのを我慢していることに気づいている。  強がろうとしても、結局何もかもばれてしまっている。恥ずかしくてちょっと情けないけど、同時に僕はほっとした気持ちになった。  家に帰るとサーシャはすぐにキッチンに...
僕と機械仕掛けと思い出

僕と機械仕掛けと思い出(13)

 その日の午後はずっと変な感じだった。  授業中も休憩時間も、クラスの子たちが僕をちらちら見ては何やらささやき合っている。落ち着かなくて、嫌な気分で、だからといって自分から理由を聞くのは怖い。だから僕はできるだけ普段通りに振る舞おうとした。  視線の意味に気づいたのは、その日...
僕と機械仕掛けと思い出

僕と機械仕掛けと思い出(12)

「見知らぬお年寄りを心配して、助けようとしたこと自体はいいことです。ただ、どんないいこともやり方を間違えては台なしですよ。あなたは優しいし正義感も強い。ただ、感情に任せて衝動的な行動をとる癖がこの年齢になっても治らないのは困りものです」  許す、と言っておきながらサーシャは夕食...
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