恋で死ぬ。かもしれません

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50. 病めるときも健やかなるときも

マークと百合子の結婚式が行われたのは、十二月はじめのよく晴れた日曜日のことだった。 安定期まで待って、などと言ってはいたものの、百合子はあの後すぐに猛烈なつわりに襲われてしまい、周囲に妊娠を隠し続けることは不可能になった。幸いゼミのメンバーも、他の友人も百合子の決断を尊重し祝福した。百合子は三年の学期末を終えたら一年の休学という名の産休育休に入る予定だ。
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49. 愛を確かめるための

蒔苗はそっとアカリに口付ける。動画の中で見たような、病院でされたような、優しく軽い口付けが何度も唇に落とされ、やがてアカリの側がそれだけでは堪らなくなる。 両腕を蒔苗の後頭部に回し逃げないようにしてから、唇と唇はぎりぎり触れない程度の距離でアカリは舌を出す。様子を伺うように唇を軽く舐め、合わせ目をつうっと舌でなぞるとあっさりと開き、侵入を許してくれた。
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48. 蒔苗、苦悩を吐露する

倒れたばかりだから家で休んだ方が、とらしくもない常識的なことを言い出す蒔苗のマンションに押しかけると、アカリはまっすぐベッドルームへ向かう。アカリ自身に記憶はないものの何度も蒔苗に抱かれたベッドに腰掛け、そのまま後ろに体重をかけると仰向けになる。 いくら鈍感な蒔苗でも、さすがに今アカリが何を望んでいるかがわからない訳ではないだろう。そして蒔苗だって当然同じことを望んでいてくれなければ困る。
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47. 終わりよければすべてよし

蒔苗の唇が自分のそれに触れている。それはまるで夢のようで、なかなか現実感のわかないアカリは何度も「もう一度」とねだった。控えめでためらうようなキスはもどかしくて、物足りなくて、でも今はその初々しさが何よりも愛おしかった。 「ところで、さっき滝の妊娠は俺の勘違いだと言ったな?」
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46. 人は変わる、こともある

「……あれ?」 目を開けると、白っぽい部屋の消毒っぽい匂い。あれ、俺路上でよくわからない奴に後ろから抑えられて、死んだんじゃなかったっけ? 慌てて体を起こそうとすると、ぐいと押さえつけられる。 「動くな!」
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