恋で死ぬ。かもしれません

恋で死ぬ。かもしれません

45. 絶望、そして大作戦

神様、どうしたらいいでしょう。俺の好きな人は連続猟奇殺人犯かもしれません。 アカリは決して信心深い方でないどころか、実家が世話になっている寺が浄土真宗なのか真言宗なのか果たしてもっと別の宗派なのかすら知らないくらいの人間だ。だが、そんなアカリでも神の名を呼びたくなることくらいある。
恋で死ぬ。かもしれません

44. 生きるべきか、死ぬべきか

「……というわけで、産むことにしちゃった~!」 ――死ね、このリア充。 場所はゼミ室。目の前で満面の笑顔を浮かべる百合子を前に、アカリは心の中で呪詛を吐く。が、すぐに思い直して「いや、ごめん今のなし。生きろ、腹の子供も元気に生まれてくれ」と訂正する。
恋で死ぬ。かもしれません

43. 蒔苗、嘘をつく

蒔苗はちらりとアカリに目をやるが、タートルネックで首を隠している姿を見ても何も言わなかった。だからアカリも自分からは何も言えなくなる。 アカリとの真似事では蒔苗がもはや満足できずにいるなんて、考えたくはない。でも、昨日の夜もやたら「疲れているならやめとくか?」なんて、そんな人の体を気遣うようなこと一度も言ったことないくせに。
恋で死ぬ。かもしれません

42. 月曜日の絞殺魔

「月曜日の絞殺魔……」 事件自体についてはぼんやりと知っているものの、その呼び名はアカリにとっては初耳だった。そもそもがよくある殺人事件のうちのひとつ程度の認識で、そんな呼び名がつくほど騒ぎになっているとは知らなかった。 「知らないのかい? テレビや新聞ではぼかして伝えられているけどなかなか興味深い事件だよ。快楽殺人って、不謹慎だけど創作心がうずくよね」
恋で死ぬ。かもしれません

41. もしかして、飽きられてる?

蒔苗の部屋に持ち込んでいた洋服では首にくっきりついた指の跡が隠せなかったので、一度家に帰ってからタートルネックに着替えた。だがいくら十月とはいえ陽気が続いている中では暑いし、大学でも浮いてしまう。 「アカリ、どうしたの厚着して」 「ああ、風邪引いたみたいで喉が痛いから」