雨を待つ国 31. 少年王
牢の中がうっすらと明るくなってきた。夜が明けようとしている。やがて外が騒がしくなり〈少年王〉は迎えが来るのだろうと覚悟を決めた。「僕はもう大丈夫だから、あの扉が開いたら逃げるんだ。わかったね?」牢番の死体に気づけば人々は今度こそ獣をただではおかないだろう。逃げるなら一瞬の隙をつくしかない。〈少年王〉は強い言葉で何度も言い聞かせるが、獣は不服そうな表情のままでいる。だから〈少年王〉は両手を伸ばして鉄格子越しにぐっとその首を抱き寄せ、ごく近い距離からその目をのぞき込んで念押しをした。
