サクラ踊る踊る(番外編)

Dance with Cherry(3)

ゲリラ豪雨と呼んで差し支えないような大雨の後は店は盛況で、渋谷と由衣の結婚前の話をそれ以上聞き出すことは叶わなかった。いや、閉店作業や後片付けの間に聞こうと思えばいくらだってチャンスはあったはずだし、聞けば開けっぴろげな性格の渋谷はなんだって答えてくれただろう。 しかし圭一は完全にタイミングを失ってしまった。
サクラ踊る踊る(番外編)

Dance with Cherry(2)

キッチンタイマーの鳴り響くキッチンに、圭一は呆然と立ち尽くした。想定外だ。こんなくだらないきっかけで、和志がこんなにも怒るなんて。はっきりと言葉にはしなかったものの明らかに圭一の側から和解のきっかけを差し伸べているにも関わらず、それを和志がはねのけるなんて、長い付き合いで初めてのことかもしれない。
僕と機械仕掛け

僕と機械仕掛けと仲直りの夕食

黒いエプロンを身につけた「AP-Z92-M」は、キッチンコンロに火をつける。そして、スープの入った鍋とは別の小さなミルクパンに湯が沸きはじめる様子に、僕は居ても立ってもいられずに引き寄せられた。「危ないから近寄らないでください」「大丈夫だよ、いつもこうやって見てたもん」 僕が言い...
お知らせ

拍手&コメント感想

「サクラ」番外の感想、ありがとうございます。痴話喧嘩を生温かく眺めるだけのありきたりなお話だと思いますが(出来上がった二人のぐだぐだな話、好きなのです)、多分週末あたりには続きを載せられると思いますので、読んでいただけたら嬉しいです。
死に神の名付け親

Chapter 1|第13話

前日とは異なりラインハルトは仕事を終えるとすぐに職場を出た。そして前日とは異なり、アパートメントの前で立ち止まり見上げると自室の窓からはうっすらと明かりが漏れていた。 安心と落ち着かなさの入り混じった複雑な気持ちで階段を上る。なにしろ、ラインハルトはこの部屋で誰かに出迎えられるこ...