僕と機械仕掛け

第8話

おじいさんがベルを鳴らすと、間もなく一人の女の人が部屋にやってきた。この広い家にはおじいさんとベネットさんと僕の三人きりしかいないと思っていたから、少し驚いた。 女の人はお母さんよりはずっと年上に見えて、でもおじいさんよりはずいぶん若く見える。ちらりと僕に目をやるが、表情を変える...
サクラ踊る踊る(番外編)

Dance with Cherry(1)

触れ合った体が熱い。頬や首筋にかかる息はもっと熱い。火曜日は圭一が働いているカフェの定休日。別にそうして欲しいと頼んだわけではないのに、和志は大学の予定をできるだけ空けて圭一の部屋にやってくる。もちろんそれ以外の日にもしょっちゅう顔は合わせているが、のんびり二人で過ごす時間を持てるのは断然火曜日だ。
僕と機械仕掛け

第7話

おじいさんは僕をソファに座らせると、その隣に腰掛けた。僕は年をとった人とくっついて座るのははじめてだった。背後からそっとベネットさんがちり紙を差し出してくれたので涙でぐちゃぐちゃの顔を拭いてから、鼻をかんだ。 鼻が通るようになると、その部屋に独特の空気が漂っていることに気づく。「...
僕と機械仕掛け

第6話

広い廊下を歩いていき、大きな扉の前で立ち止まったベネットさんはドアノブに手をかける。 僕はすっかり怖気付いていた。だって、この先にいるのは知らない人だ。僕のおじいさんと名乗る、知らない誰か。いくらあのロボットに腹が立っていたからって、軽率だった。だって、ベネットさんはいつだって帰...
死に神の名付け親

Chapter 1|第12話

ラインハルトは何とか業務開始時間に遅れることなく職場に滑り込んだ。順番に門を開けて校内を見て回っていると、ようやく心が落ち着いてきた。 どうせこの慌ただしさも明日までだ。明日は日曜日。ルーカスの親類が彼の処遇について話し合うことになっている。ルーカス自身は妙に悲観的になっているが...