死に神の名付け親

Chapter 1|第16話

話はとんとん拍子に進んだ。ルーカスの学校にほど近い場所で暮らしている教会つながりの知人に預ける、というのは施設送りよりはよっぽど良識的で罪悪感を抱かずにすむストーリーなのだろう。少なくともここに集う人々にとっては。 少し前までの重苦しい空気が嘘のように人々は愛想よく笑い、饒舌にし...
死に神の名付け親

Chapter 1|第15話

ラインハルトの突然の発言にハウスドルフ家のリビングは静まり返った。赤ん坊を連れた比較的若いカップルから初老といっていい世代まで、十人以上の視線がさっと自分に集まるのを感じて、ラインハルトは遅ればせながら発した言葉の重さにハッと息を飲む。「君は……?」 口ひげを蓄えた男が怪訝そうに...
サクラ踊る踊る(番外編)

Dance with Cherry(4)

今回こそ、どうやら和志は本気であるらしい。スマートフォンの日付表示をにらみつけて、圭一はため息をついた。今日は火曜日。カフェの定休日。つまり、和志が「ちょっと頭冷やすよ」と言い残してこの部屋を出て行ったあの日からは丸一週間経ったことになるが、和志からはこの間電話の一本、一言のメッセージすらない。
僕と機械仕掛け

僕と機械仕掛けと名前の問題

いつもより一時間も早く目が覚めたのはうきうきしていたから。 あいつよりも早起きかもしれないと思ったらもっと浮かれた気分になって、僕はそっと部屋を出ると、小走りでキッチンへ向かった。でも、廊下に出ればすでに漂っているコーヒーの匂いに気づいてしまうし、リビングのドアを開けると、ダイニ...
死に神の名付け親

Chapter 1|第14話

「だから最初から反対だったのよ」 甲高い声を耳にした瞬間、ラインハルトはルーカスを連れて事前の連絡もなしにここへやってきた自分の浅はかさを後悔した。「おい、行くぞ。やっぱりこんな……」 ルーカスに駆け寄ると腕を掴んでその場から立ち去ろうとするものの、少年の体は地面に釘付けになった...