先生の秘密

先生の秘密

「ちーちゃんの乳首が見たいんだよね」 窓からオレンジ色の光が差し込む夕方。いつもどおりの笑顔を浮かべて、いつもどおりの飄々とした口ぶりで|榎木《えのき》がそう言った瞬間、俺は凍り付いた。 他に誰もいない放課後の教室。「どうしてもわからないことがあるから」と言われ、時間外にマンツー...
神を屠る庭

25. 欲望の先

女たちが鮮やかに染めた布を結び合わせて広場を華やかに見せるための飾りを作っているのを、セスは地面に座ってぼんやりと眺めていた。「よそ者」の契りの儀式の興奮が去り、集落が落ち着きを取り戻したかと思いきや人々は「山の神の祭り」の準備に夢中になっている。普段は乳を搾るため大事に飼ってい...
僕と機械仕掛け

第1話

消毒液のにおいがする真っ白い部屋に突然あらわれたのは、いままで見たことのない大人の男の人だった。「はじめまして、アキ」 ずっとお母さんと二人だけで暮らしていた僕は、大人の男の人はなんとなく苦手だった。だってたいてい体が大きくて、声がちょっと低くて、力が強い。持ち上げられたらそのま...
神を屠る庭

24. 祭りの終わり

「……ただいま」 外出から戻ってきたリュシカは珍しく思い悩むような表情をしていた。 セスに頼まれて、リュシカが昼間にクシュナンの小屋に同行するようになってからは、もう何日も経っていた。帰宅するとリュシカは遊びから帰ってきた子どものように、いかにクシュナンが熱心な生徒であるか、クシ...
神を屠る庭

23. ひとりには戻れない

思わず吐いてしまった弱音。心の中にただわだかまっていた「怖い」というぼんやりとした感情は文字になった瞬間はっきりとした形を持ち、ぐっと存在感を増したようだった。 セスは自分の書いた文字に怯え、手を伸ばすと急いで白くかすれた文字を指でこすって消し去ろうとした。恥ずかしい。こんなこと...