お知らせ

「Open Sesame!」さまに作品を紹介していただきました

「Web小説応援サイト Open Sesame!」さまに、当サイトの「醒めるなら、それは夢」を紹介していただきました。管理人さま、そして推薦してくださった方、ありがとうございました。
サクラ踊る踊る

第8話

圭一は五分に一度のペースで「パラダイスカフェ」を開いて新着メッセージを確認しては「0件」の文字にがっかりすることを繰り返した。 自分が馬鹿みたいなことをしているというのはわかっている。十六歳の女の子になりきった恥ずかしい文面で、成人男子としてはこの上なく幼稚で情けない悩みを見知らぬ相手にぶつけてしまった。しかもそんなメッセージを送るだけでは飽き足らず、そわそわと返事が来るのを待ちわびている。まったく救いようがない。
神を屠る庭

6. 雨のあと

男は目を覚ました。頭上には月や星が輝いていて、視界の隅ではちらほらと火が燃えている。まだ目覚めには早すぎる時刻だ。落ち葉が朽ちてできた柔らかい土の上で男は毛布を被って横たわっている。そして腕の中には温もりがある。 「ん……」  腕の中の少年が身じろぎをして小さなうめき声を上げたの...
神を屠る庭

5. 呼べない名前

「おい、セス」  神の使いの小屋から戻り屋敷に入ってきたセスを見つけたスイが駆け寄ってきた。セスが手にした盆をのぞきこみ、すべての器が空になっているのを確かめるとその顔に笑顔が浮かぶ。 「調子がいいみたいだな」  セスは首を大きく縦に振った。話したいことは他にもあるが、両手がふさ...
サクラ踊る踊る

第7話

一見したところそのメールは他のものと比べて多少ミーハー成分が抑えめではあるものの、内容に大差はなかった。芸能界の人間関係に悩んでいるというほのかを真剣に心配する様子で「自分で相談に乗ることができるならば、なんでも話してほしい」といった内容が落ち着いた文面にしたためられている。