醒めるなら、それは夢 77. 第5章|1950年・西ベルリン
シュンシュンと白い湯気を吐き出しながらやかんが震えはじめる。ニコははっとして火を止めると、コーヒーの瓶を開けた。「悪いな」差し出されたマグカップを受け取りハンスが礼を言う。結局あのまま立ち話で終わらせることもできず、ニコはハンスをアパートメントへ連れて来てしまった。ほとんど客を招いたことのない部屋にこの男が座っていることにはひどい違和感を覚える。まるで時間が三年分巻き戻ってしまったような、それは恐怖にほかならない。
