醒めるなら、それは夢 61. 第4章|1943年・アウシュヴィッツ
列車の中からなかば押し出されるようにしてよろめきながら飛び出てきた、それがニコだということは目をこらすまでもなくわかった。どんなに遠くても何年離れていてもユリウスにはニコを見分けることができる。それが単なる思い込みやうぬぼれではなかったことに自分でも驚いた。だがそれはユリウスに特殊な能力が備わっているからではなく、身長こそ多少は伸びているもののニコの全体的な背格好や身のこなしなどが驚くほど変わっていなかったからなのかもしれない。
