まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

30.栄

「はー……」 自分の口からこぼれたため息の大きさに自分で驚いて、はっと顔を上げると同室の久保村とトーマスがこちらを見ていた。「あ、いや何でもないです」 気まずさから愛想笑いを浮かべて再びPCに目を落とす。ため息ばかりついているがどうかしたのか? ため息をつくたび心配の声をかけられ...
お知らせ

拍手&コメント御礼

「まぶたに蜜」やっと終盤になってきました……。もうちょっとで「夜の場面」ですのでお待ちくださいませ。いつも拍手やコメント(返信不要のものも!)ありがとうございます。あと引用載せませんが天ぷらアドバイスもありがとうございました。市販の天ぷら粉が優秀であるとの情報をあちこちからいただ...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

29.羽多野

狙いは甘く、紙屑はこつんと縁にぶつかってゴミ箱を揺らしてそのまま床に落ちた。 このまま小娘の癇癪に付き合うか、それとも無視してアペリティーボへ向かうか。本心は後者だが、インターン指導役としての保身が頭をちらつく。「そんなに焦らなくたって、何なら一度帰国して日本から仕事を探すって方...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

28.羽多野

目を覚ました羽多野は枕元に置いた時計で時間を確かめる。アラームをセットしてある時刻よりはまだ早い。ここ数日、覚醒が早い気がするのは酒量を抑えているからだろうか。 ベッドの隣には、人ひとり横たわれるスペースがすっぽり空いている。 離婚して以来の長い年月をひとりで過ごした。日本ではダ...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

27.栄

ここまでどうにかして維持してきた笑顔がこわばるのを感じた。 男は駄目ですか? 質問に正直に答えるならばイエスだ。栄は一度だって男以外を好きになったことはない。だが、なぜジェレミーがそんなことをきく。「え……っと?」 会話の流れを反芻して、質問の意図を汲み取ろうと試みた。昨日のカミ...