醒めるなら、それは夢 35. 第2章|1939年・ハンブルク
年が明け、街の空気は表面上落ち着いていた。|水晶の夜《クリスタルナハト》以降は目立ってユダヤ人が暴行を受けるような事件も起きてはいない。だが、少し考えればそれが厳しい外出制限や多くの場所への立入制限により街にユダヤ人が出てこなくなったためであるのは明らかだった。父親はユリウスにグロスマン家への立入を禁止した。とはいえその言いつけは限りなく実効性の薄いものだ。経営する機械部品工場が急に忙しくなり、父親の帰宅時間も遅くなったからだ。
