醒めるなら、それは夢 30. 第2章|1938年・ハンブルク
「最近、兄さんがちょっと変なんだ」珍しくユリウスの部屋にやってきたニコが切り出した。ひとしきり勉強を終えたところだった。ニコはユリウスのベッドに腰掛け、ユリウスは自分の勉強机に座ったままニコの方を向いてとりとめもない雑談をしていた。普段はニコの家で会うことの多い二人だが、今日はニコの側からユリウスの部屋に行っていいかと聞いてきた。夏休みの昼間だから父親はいないし、家政婦の女性はユリウスの行動には干渉しない。特に断るような理由はなかった。
