まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

7.羽多野

とことん自分本位な性格の持ち主ではあるが、羽多野はこれまでの職業人生ではそれなりに管理職的な振る舞いも求められてきた。だが、離婚で最初の職を失い、例の事件で議員秘書を辞めたときに思った。いくら献身的に振る舞ったとしても自分は仕事というものには恵まれない運命なのだ、と。 だからロン...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

6.羽多野

これっぽっちも仕事に気持ちが向かわない月曜日を終えて、そろそろパソコンをシャットダウンしようとマウスに手をかけたところでコンコンとドアが鳴る。カモン、と声をかけると姿を現したのは神野だった。どうやらオリエンテーションが終了したらしい。 羽多野と仕事をするのは明日からだと言われてい...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

5.羽多野

働き盛りの男性の自殺が多いのは月曜日の朝、という研究結果があるらしい。つまり世の中には仕事から死を思うほど強いストレスを受ける人間も少なくないようだが、羽多野についてはその手の悩みとは無縁だ。 振り返れば、初めて労働力を金に換えたのは大学時代のこと。米国では留学生のアルバイトは厳...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

4.栄

ジムから数軒の場所にあるカフェに入ると栄はコーヒーを注文してジェレミーは紅茶を頼んだ。ポットで運ばれた茶の抽出をじっくりと待ち、たっぷりとミルクを注ぐやり方はいかにも英国人らしく優雅にも見えた。「東京の生活はどうでしたか?」 会話の糸口にと当たり障りのない質問をすると、ジェレミー...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

3.栄

案の定、行為の後に疲れて二度寝してしまい、目を覚ますと昼過ぎだった。これだから朝からセックスなどするものではない、と思いつつも「適度な運動と十分な睡眠」の効果は抜群で、激務で疲れ切った体も一気に回復したような気がした。 起き出して、昼食にしても遅すぎる食事をとりながら羽多野は映画...