死に神の名付け親

死に神の名付け親

Chapter 1|第10話

今夜はベッドを譲ろうか、と声を掛けたがルーカスはあっさりと首を振りソファの上で毛布を被ってしまった。こういう強がりは尊重してやったほうがいいのかもしれないと考え、ラインハルトもそれ以上何も言わなかった。 寝室に入ると部屋の隅に散らばったままの鏡の破片が目に入る。昨晩の自分を思い出...
死に神の名付け親

Chapter 1|第9話

「孤児……?」 何の心の準備もしていないところに、突然の告白。ラインハルトはどう反応すれば良いのかわからず口ごもった。 昨日からすでに両手の指では足りない回数繰り返した後悔が、またひとつ新たに積み重なる。父も姉も、ルーカスにそんな事情があるなんて教えてくれなかった。確かに父の物言...
死に神の名付け親

Chapter 1|第8話

アパートメントの前までたどり着いたところで、自分の部屋の窓を外側から見上げる。窓は暗く明かりは灯っていない。ルーカスはまだ戻っていないのだ。 十四歳だった頃のラインハルトがこんな遅くまで帰宅しなければ、きっと父親からこっぴどく叱られ、ひとつかふたつはぶたれていただろう。今も世の中...
死に神の名付け親

Chapter 1|第7話

ラインハルトは薄いカーテン越しに差し込む朝の光と、ひりつく右手の甲の痛みで目を覚ました。なぜそこに傷があるのかがわからず戸惑うが、ベッドから立ち上がり部屋の隅に散らばる鏡の破片を目にして昨晩のことを思い出した。だが朝から悠長に掃除をしているような暇はない。とりあえず惨状からは目を...
死に神の名付け親

Chapter 1|第6話

苛立ちを込めて、わざとらしく大きな音を立てて寝室の扉を閉める。大人気ないのはわかっている。だが、ぎゅっと唇を噛みしめた口の奥から湧き上がるのはどうしようもない悔しさだ。父親の侮辱だけでもひどくショックだったのに、それどころか情けをかけてやったルーカスからも、感謝どころか酷い言葉を...