死に神の名付け親

死に神の名付け親

Chapter 4|第65話

ここにオスカルがやってくる理由も、彼がなぜあのネックレスを手にしているのかもわからない。ラインハルトは狐につままれたような気持ちでオスカルの差し出しているものを凝視するが、それはあの揃いで買った十字架のネックレスに間違いなかった。何年も手元に置いて朝晩眺めていたラインハルトが見誤...
死に神の名付け親

Chapter 4|第64話

翌朝からラインハルトは本格的に引越しの準備に取りかかった。引越し先である病院の宿直室はここよりもずっと狭いので、持って行ける荷物は限られている。まずは寝室、リビング、キッチンからバスルームをぐるりと歩き回り、おおまかに処分すべき物の見当をつける。幸い家具は元々の備え付けなので、ラ...
死に神の名付け親

Chapter 4|第63話

寂しさ、申し訳なさ、そしていくばくかの爽快感。父の背中を見送った後の感情を表すならば、こんなところだろうか。 思えばこれまで、正面から自分の気持ちを父へ告げたことがあっただろうか。ラインハルトがオスカルのことをどう思っていたか、自分の性的指向をどう捉えてどう悩み、どう向き合うつも...
死に神の名付け親

Chapter 4|第62話

ラインハルトの抱える問題は何ひとつ解決していないし、置かれた状況はまったく変わっていない。それでもほんの少しだけ心が軽くなったような気がするのは、あのハンスという男が持つ根っから明るく前向きな空気に当てられてしまったのかもしれない。 これまでの自分は臆病すぎたのだろうか。人とのつ...
死に神の名付け親

Chapter 4|第61話

「まさか、信用なんてされてませんよ。ただ、かわいそうな子どもだって思われていただけです」 ラインハルトが思わずそうつぶやくと、ハンスは驚いたように軽く目を見開いた。「そうか?」 その反応に、さっき口にした言葉はハンスにとってはただの軽口で、彼自身はあの二人から信用されているかどう...