恋で死ぬ。かもしれません

19. いざ、再生

アカリはワクワクしながらSDカードのデータフォルダを開き、目的の動画をダブルクリックする。再生ソフトが起動し、データを読み込むだけの時間がとんでもなく長く思えて、やや緊張していることもあり、矢継ぎ早にビールを口に運んだ。そして、動画がはじまる。
恋で死ぬ。かもしれません

18. アカリ、盗撮を試みる

日曜の夜、アカリは再び蒔苗のマンションを訪れた。なんとなく予想していたことではあるが、蒔苗は今日も冷めたペパロニのピザを食べていた。もしや、と思ってキッチンの隅に置かれたゴミ箱を見ると中はピザの空き箱でいっぱいだ。さらに念のためもう一つ置いてある分別用のゴミ箱をのぞくと、そちらはミネラルウォーターとコカコーラの空きペットボトルで埋まっていた。
醒めるなら、それは夢

42. 第3章|1939年・クラクフ

ニコは夢を見ていた。小学校にいたあの教頭が物差しを持って近づいてきて、逃げるニコを追い詰めると額に物差しを当てる。夢の中では彼はなぜか親衛隊の黒服を着て、左腕にカギ十字の腕章を付けている。彼はきっとまたあのときのように「君の額はアーリア人よりも狭く、それは君の脳みそが小さくて知能が低いことを示しているのだ」と薄笑いを浮かべるに決まっている。
恋で死ぬ。かもしれません

17. 好奇心は猫をも殺す

冷静に考えれば、頭の中では「これ以上あんな変人に付き合うのは危険だ」という、まっとうな結論が出ている。しかし、卑怯にも蒔苗が「すごく良かった」などと言ったものだから、アカリの中に妙な迷いが生まれてしまった。アカリはおだてに弱い。そして、好奇心も強い方だ。頭の痛みと気分の悪さは数時間で消えたし体の痛みも数日で癒えた。喉元過ぎればなんとやらというが、あんなに怖くて不快な思いをしたことも、怒りに震えたことも決して記憶から消えてしまったわけではない。しかし、どうしても気になるのだ。
恋で死ぬ。かもしれません

16. アカリ、初体験を振り返る

「ふうん、とりあえず仲直りしたならいいけど、人前でああいうのやめてよね。先輩たちもびっくりしてたよ」コンビニエンスストアで買ってきたばかりのアイスコーヒーを、くまなく冷えるようストローでぐるぐるかき混ぜながら百合子が言う。「悪かったよ。あのときは俺も興奮しててさ」アカリは素直に謝った。