まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

37.羽多野

滑稽なまでに熱心に股間に向き合っている栄を、羽多野はしばらく興味深くほほえましく眺めていた。だが、いくら自制心を総動員したところで恋人に触れられた場所が猛っていくのはいかんともしがたい。 徐々に角度をつけたペニスが完全に反り返ったところで羽多野はそろそろ潮時だと考えた。「谷口くん...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

36.羽多野

「え……?」 ぎょっとしたように栄が顔を上げた。冷房が必要な季節、バスルームに裸で立っていたって寒いわけはないのに顔はわずかにあおざめたようだった。「何を驚く必要がある? 第三者に相談するほど克服への意欲はあるんだろう? だったらちょうどいい機会じゃないか」「いや、だから。それは...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

35.羽多野

突然のキスに戸惑い、その意味を警戒して強張った栄の体を羽多野は有無を言わさず抱きすくめる。緊張のせいか乾いている唇に、まずは上下まとめて噛みついてから潤いを与えるため舌で舐める。 噛み締めんばかりに力が入っていた唇が緩むのに続いて、おずおずと背中に手が回された。これも怒りの表現な...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

34.羽多野

万事において往生際の悪い栄だが、さすがに逃げ出すようなことはせず、苦虫を噛みつぶしたような顔をして羽多野についてきた。せっかくの美男子が台なしだとからかってやろうと思ったところで、他人の目がないところでの栄などそもそも機嫌の良さそうな顔をしている方が少ないことに気づいた。 栄が不...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

33.栄

羽多野は栄を見て、ジェレミーを見て、また栄を見た。そして口の端をあげて愉快そうに微笑んだ。だが栄にはわかる、その笑みの裏側には、不快感と優越感の入り混じったなんとも恐ろしい感情が潜んでいることが。「そういえば、谷口くんこそ《《どうしてこんなところに》》?」 形勢逆転。 浮気もしく...