まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

27.栄

ここまでどうにかして維持してきた笑顔がこわばるのを感じた。 男は駄目ですか? 質問に正直に答えるならばイエスだ。栄は一度だって男以外を好きになったことはない。だが、なぜジェレミーがそんなことをきく。「え……っと?」 会話の流れを反芻して、質問の意図を汲み取ろうと試みた。昨日のカミ...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

26.栄

なにやら面倒なことになってきた。栄はこの場から逃げ出したい衝動に襲われたが、もちろんそんなことは鍛え上げた外面が許さない。「ああ、じゃあ……ここじゃなんだから、お茶でも飲みながら」 それでもギリギリの決断で、場所を移すことを申し出た。なんせジェレミーと最後に交わした会話は彼のセク...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

25.栄

――栄さん、今日はお忙しいですか? ピコンとスマートフォンにポップアップしたメッセージに栄は「まいったな」と頭を抱える。送信者はジェレミーだ。栄が今日もプールに行くかを知りたいのだろう。 ここのところ数日と空けずにジムで会っていたし、泳ぎのフォームを見てやる約束をしていた手前、互...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

24.栄

膝をついて頼むまでのことはしなかったものの、羽多野が渋りながらも「理不尽な態度の理由は嫉妬である」と表明したことで、いくらか栄の気は晴れた。 だからといって「自分も悪かった」と口に出す気になれないのは、ひとつには、インターン女の件で「どっちもどっち」なのではないかという思いが拭い...
まぶたに蜜|心を埋める(番外編)

23.栄

少しはうろたえるのではないか、申し訳ないという顔をするのではないか。そんな栄の予想に反して羽多野はどこまでもふてぶてしかった。「だったらどうなんだ。誰かさんがどこぞのお姫様みたいに触るなとか近寄るなとか言うから、こっちだってできるだけの配慮はしたつもりなんだけど」 謝罪どころか完...