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59. 栄

「お客さん、このあたりですか?」タクシーの運転手に声をかけられて窓の外を見回すが、栄にも土地勘はない。とりあえずその場で降ろしてもらい地図を確認することにした。
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58. 栄

——恋人の居場所を知る方法まさか自分がこんな文字列を検索する日が来るとは思わなかった。寝室の鍵を閉めてラップトップの画面を凝視しながら、栄は惨めさと情けなさを噛みしめていた。
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57. 栄

賑わう店内の様子から簡単には抜け出せないのではないかと思っていたが、そう時間を置かずに未生はきっぱりと離脱宣言をした。「じゃあ店長、俺上がりまーす。尚人ごめん遅くなって、あと十分で出るから」
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56. 尚人

賑わう店内の様子から簡単には抜け出せないのではないかと思っていたが、そう時間を置かずに未生はきっぱりと離脱宣言をした。「じゃあ店長、俺上がりまーす。尚人ごめん遅くなって、あと十分で出るから」
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55. 尚人

「何これ、くれるの? 悪いな」受け取った紙袋の中身を確かめて、冨樫は嬉しそうな顔をした。「頂き物なんですけど、うちじゃ持てあましちゃうんで。食べてもらえたら助かります」栄がパーティでもらって来た野沢菜漬けを、尚人は事務所へ持って行き冨樫に渡すことにした。食卓に出したところでどうせ栄は箸をつけないだろうし、尚人だけで消費するには一袋の量が多すぎる。