死に神の名付け親

死に神の名付け親

Chapter 2|第25話

それはまったくの偶然だった。 顔を上げた先。数メートル離れた交差点に立つ黒髪の長身の男の横顔が偶然視界に入ると同時に、ラインハルトの視線はそこにフォーカスする。 どん、と心臓を叩かれるような衝撃。それと同時に腰から下の力が抜け、その場に崩れ落ちてしまいそうな感覚。しかしその男から...
死に神の名付け親

Chapter 2|第24話

予告通り日曜の朝からルーカスは出かけて行った。その顔に一切の暗さはなく、よっぽど演技が上手いのでなければ彼は心底から両親との思い出の残る家を処分することに迷いを持っていないのだろう。 ラインハルトはルーカスのある種の割り切りの良さを見せつけられたことに内心では動揺していた。一方で...
死に神の名付け親

Chapter 2|第23話

ルーカスはあっさりとしたものだがラインハルトは納得がいかない。自分だって、父親との確執があるからほとんど出入りすることはなくなったとはいえ、生まれ育った家への愛着や思い入れはそれなりにある。まだ両親を失って一年も経たない少年にとってはなおさらあの家は大切なのではないか。「おい、本...
死に神の名付け親

Chapter 2|第22話

ミドルティーン。まだ世の中のことなどろくに知らないのに、何もかもわかったつもりになっている年頃。愛だって恋だって、いともたやすく永遠の真実だなんて信じて、それがただの気まぐれだと知るのは正気に戻ったとき。もっとも自分のようにいつまでも正気に戻れない人間だっているのだが。 サイドテ...
死に神の名付け親

Chapter 2|第21話

ルーカスはあっという間に切り分けたケーキの一切れを食べ終え、さらにもう一切れを皿に移した。見ていて気持ちよくなるほどの食べっぷりだが眺めていると空腹感が刺激される。ケーキなんてもう何年口にしていないだろう。口の奥から唾液が湧き上がってくるのを感じた。本当は甘いものが嫌いだなんて嘘...