死に神の名付け親

死に神の名付け親

Chapter 2|第30話

「……自分で、だと?」 耳にした言葉がとても信じられず、ラインハルトは思わず聞き返した。 ルーカスは誰かにやられたのではなく、自分で黒いインクをかぶりそのままの姿で帰ってきたと言っている。そして、このひどい姿は自ら望んだものだからバスルームで洗い流すことを拒んでいるというのだ。「...
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Chapter 2|第29話

ルーカスの姿は異様としか言いようがなかった。頭のてっぺんから黒インクをかぶったような――いや、「ような」ではない。周囲に漂う匂いからして、実際にルーカスの髪を染めているのがインクであることは確実だ。彼は黒いインクをひと瓶丸ごとひっくり返して、頭の上からかぶって帰ってきたのだ。 美...
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Chapter 2|第28話

あの日、売却を決めた実家の片付けから戻ったルーカスはいつもと違っていた。うつろな様子でラインハルトの方を見ようともせず、普段の旺盛な食欲が嘘のように夕食もとらないまま毛布をかぶってしまった。そして、あれから十日以上経つが、今も同じような状態が続いている。 同じ屋根の下にいるがろく...
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Chapter 2|第27話

ひどいめまいがする。ふらつく足でなんとか用務員用の準備室まで戻ってきて、電池が切れたように床にへたりこむ。 電球が切れたから替えて欲しいと言われたラインハルトは一年生の教室まで行った。脚立に乗って天井を見上げた瞬間ぐらりと視界がにじんだが、ぎりぎりのところでこらえることができた。...
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Chapter 2|第26話

シャツに匂いのきつい薬剤がつくのも構わず、ラインハルトはただ髪の脱色作業に夢中になった。いくら食事を制限したって成長しすぎた体が縮むことなどありえないが、栗色の髪は薬剤を使えばかつてのような金色に戻すことができる。 青い目以外のなにもかもが気にくわない自分の肉体の中で唯一コントロ...