恋で死ぬ。かもしれません

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30. アカリ、襲撃

「なんだ、やっぱり酔ってるじゃないか」玄関先に現れたアカリを見て、蒔苗は呆れたように言った。それは決して誤解でも間違いでもない。今から行くと威勢良く電話を終えて、勢い込んで終電で蒔苗のマンションの最寄駅まで来たものの、当初の興奮が冷めるにつれて本当にこれで良いのかという不安が湧き上がる。アカリは、再びテンションを上げるために近所のコンビニで適当に度数の高価そうな酒を買い漁り、店先でぐっと一本飲み干してからここにやってきたのだ。
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29. 欲求不満の行き着く果て

息苦しいほどの草いきれに性感を掻き立てられるのは一体どうしてだろう。青臭い匂いや熱気が汗や精液を思い起こさせるからだろうか。気づけばアカリは公園で立ったまま後ろから貫かれ、揺さぶられている。ずいぶんお預けだったから狭くなっていたようで、挿入するときには苦しそうな、でも気持ち良さそうなうめき声が背後から耳をくすぐった。アカリもひどく興奮して、触れてもいないのに勃ち上がった性器からとろとろと大量の先走りがこぼれるのを止められない。
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28. だって、眠る自分に嫉妬するから

そして二週間、アカリは連戦連敗を積み重ねた。あの日作れなかった焼きそばは「材料がもったいないから」と無理矢理押しかけて翌日に作ったが、これまで使われた形跡のないピカピカのキッチンで出来上がったのは、食べられないほどまずくはないものの感動するほど美味しくもないなんとも微妙な代物だった。
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27. 血と指と舌

ぬるりと柔らかく生温かい感触が指を包み、這い回る。少し遅れて強く吸い上げる動き。痛みを感じる間もなく訪れた異様な感覚にアカリは目が回り、そのまま卒倒してしまいそうだった。指が、指が、指が……蒔苗に、俺の指が……。いや待てよ、指を舐められたくらいで動揺するなんてガキじゃあるまいし。ぐらぐらする体を何とか支えアカリは冷静を装って――といっても実際のところただ硬直していただけなのだが、指先の隠微な感触に浸った。
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26. 攻勢、一転

蒔苗と次に会う機会は思ったより早く巡ってきた――というのは正確ではない。悩んで悩んで結局アカリの方から約束を取り付けたのだ。「あのさ、蒔苗って普段なにやってんの?」自分から初めてかけた電話では、第一声でみっともなく声がひっくり返った。「何って、別に。本読んだり、DVD観たり……」