恋で死ぬ。かもしれません

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25. 愛のあるセックス

蒔苗と並んで歩くのは久しぶりのような気がする。というか、まともに二人で歩くこと自体はじめてかもしれない。アカリが後を追ってきても蒔苗は特に嫌がる素振りは見せないが、だからといって嬉しそうでもない。要するになんの手応えもない。一方のアカリも勢いで一緒に出てきてしまったものの特に何か話題や目的があったわけでもないので、結局二人は黙ったまま大学の門まで並んで歩く。
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24. 恋愛成功の秘訣

図書館に本を返すため一週間ぶりに大学に行き、ついでにゼミ室に寄ろうと構内を歩いていると、ちょうど百合子と出くわした。「あれ、アカリ久しぶり!」百合子は妙に楽しそうでつやつやしている。一方のアカリは、もはやしおしおでこのまま枯れて朽ちてしまいそうな気分だ。
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23. 人生には三つの坂がある

えー、人生には三つの坂がありまして。上り坂、下り坂、そして。――まさか。そう、そのまさかだ。アカリは狭いパイプベッドの上でゴロゴロと転げまわり、最終的にベッドから安っぽい合板フローリングの床に落下した。一階にある部屋のいいところは、家賃が安いことだけでなく多少音を立てたところで階下から文句を言われないことだとしみじみ思う。
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22. 恋とは落ちるもの

帰国すればもう八月。試験と合宿でアルバイトに入れない日々が続いたので、後期の授業料納入に向けてここからがアカリにとっては稼ぎどきになる。指導教員である倉橋がいないので八月いっぱいはゼミも休み、もちろん自主研究があるので自由にゼミ室や設備は使えるが、毎日大学に行く必要はない。アカリは正直ほっとしていた。なぜなら、これでしばらく蒔苗の顔を見ないですむからだ。合宿代という予想外の大きな出費があったのでうっかり誘いに乗ってしまったが、これからは普段のバイトで地道に稼げば、もう蒔苗からの危険な誘いに乗る必要もない。
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21. 指先から火花

翌朝、アカリは寝不足のぼんやりした頭を抱えて大学へ向かった。前の晩はうきうきで動画を観はじめて、そして……。「おい、明里」「うわああああああっ!」「なんだ、大げさに」顔を上げると、そこには蒔苗がいた。