うつくしいあし

うつくしいあし

第17話

電話を切って、まずはほっとした。 宇田はぼくを避けなかったし、こんな突然のわがままを受け入れてくれた。それだけで、たとえ宮脇が良からぬ忠告をしていたのだとしても宇田は真に受けていないと信じる助けにはなった。 溶けた氷で水っぽくなったコーラを一気に飲み干して店を出てから、宇田の来訪...
うつくしいあし

第16話

それ以上視線を合わせることも言葉を交わすこともせずに、ぼくは慌ただしく部屋を出た。もしも義足でなければ、そのまま走って逃げ出していたかもしれない。 宮脇が何を考え、意図しているのかはわからないが、そんなもの聞く価値はない。「心配」だとか「忠告」だとかもっともらしい言葉を使ったとこ...
うつくしいあし

第15話

「じゃあ、後期から復学の意向ということですね。必要な書類については後で渡すか……電子媒体の方が良ければメールで送ります」「はい、その方向でお願いします」 念を押すように事務の女性に問われ、ぼくは深くうなずいた。 面談室を出ると彼女は手を振ってそのまま教務課へ戻っていく。すでに復学...
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第14話

宇田は、ぼくと宮脇がほとんど並ぶように立っている場所まで歩いてくるべきか、それとも立ち止まったままでいるべきか迷っているようだった。顔にはあきらかな戸惑いが浮かぶ。 しかし不穏な空気が漂っていたのもほんの短い時間だった。初夏の夕方の風がふっとぼくたちの頬を撫でて、それが去ったとき...
うつくしいあし

第13話

「あ、そろそろ時間だから行かなきゃ」 時計に目をやった宇田が、そう言って腰をあげた。「今日もコンビニ?」「ううん、宅配仕分けの方」 楽しい時間はあっという間に過ぎる。昼過ぎに待ち合わせて喫茶店でコーヒーを飲みながら話をしているうちに、もうアルバイトの始まる時刻が近づいていたのだ。...